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数万人の住んでいる地域を例にとれば、例えば小学校区の人口1万人程度を最小単位として文化を考えていくという発想がこれから非常に重要になってまいるというようなことでございます。
4番目は「疑似文化からの脱却」。現在、映像文化、それから電子工学文化によりまして、多くの情報というものがきわめて疑似化しているというのが実態でございます。この様なバーチャル・リアリティ(仮想現実)からの脱却、そして「ホンモノの文化への志向のたかまり」というものが出てきているわけでございますから、お芝居だって、やっぱり劇場に行って、役者さんのつばが飛んでくるような、そういうところで、目がきらっと光る、きらっと光るその瞬間というものの何とも言えない味、そういうものはテレビじゃだめなんですね。やっぱり劇場に行かなければならないわけですね。そういうような本物の文化への志向が高まってきております。
5つ目は「行政の役割と機能の変化」ということでございます。「行政の文化化」ということが出てきているわけでございますし、また「ハードからソフトヘ」という大きな流れもございます。
6番目は「文化の産業化」。先ほど申しました劇団「四季」などをモデルとするような「文化の産業化」、つまり文化産業の進展と、それから逆に「産業の文化化」というものが同時進行しております。それらの切り結ぶ接点に公立文化施設があるとも言えるわけでございます。もう既にアメリカなどでは、博物館や美術館というものが完全な文化産業の拠点化するというケースがでてきているわけでございます。
7番目「アーチストと行政・企業・市民・地域社会との新しい関係」の模索と構築。これが差し迫っている私たちの課題でもある、そういうふうに思うわけでございます。
次に4番目に参ります。
「日本におけるアートマネージメントの現状と課題」ということでございますが、これは私なりの観点から見させていただいた1つの視点でございます。まず、「現状」ということで考えてまいりますと、先ほど申し上げましたジェネラル・アートマネージメント、ハード面における管理部門的なジェネラル・アートマネージメントというのは非常によく構成されているということでございますが、これからの課題は、事業部門におけるスペシャル・アートマネージメントをどのようにバランスをとって活性化していくかという課題が大きくあるんじゃなかろうかと思います。現状としては、まず行政直営の場合では、アートマネージメントの経験を積んだ方々が

 

 

 

 

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